ご挨拶

2000年代は1850年以降で最も気温の高い期間であり、温暖化は人為的影響による可能性が極めて高い。IPCCでの最新の報告は、このように結論づけています。気候変動問題は、遠い将来の問題ではなく、今日、地球に住む人類が直面する課題となっています。

2007年、私は日本国総理として、2050年までに世界の温室効果ガス排出量を50%削減することを提案しました。この大きな目標を実現する鍵は、イノベーションです。そのためには、世界中で最も先進的な知見を共有し、各国政府、産業界、アカデミアの力を結集することが欠かせません。

こうした考えの下、「エネルギー・環境技術版ダボス会議」とも言える会議の創設を提唱しました。これは、世界トップクラスの政策担当者、ビジネスパーソン、研究者が、それぞれの垣根を越えて気候変動問題解決のイノベーションを促進する、過去に例を見ない取組です。

気候変動問題という人類に課せられた課題を克服し、地球の未来を創造していく世界のリーダーの皆様に、東京でお会いできることを楽しみにしております。

内閣総理大臣 安倍晋三(内閣総理大臣)

気候変動問題という、人類史上最も重要で、かつ、最も困難なミッションの一つを解決するには、これまでの社会システムを変革するイノベーションが必要です。

イノベーションという言葉を初めて用いたシュンペーターは、イノベーションの担い手を「アントレプレナー」(「企業者」)と呼びました。

この「企業者」は企業経営者のみを指すものではありません。政府、企業、学界等、気候変動問題に関わる全ての人が、変革を担う「企業者」として行動することが必要です。

「Innovation for Cool Earth Forum」は、こうした「企業者」がそれぞれの知見を共有し、

新たな行動につなげていくためのプラットフォームとなることを目的に、安倍総理の提案によって設立されました。

本年のICEF年次会議は、COP21につながる非常に重要な会議です。現代の「企業者」の皆様とお会いし、人類の未来を切り開く取組について活発に議論される場に立ち会えることを楽しみにしております。

経済産業大臣 宮沢洋一(経済産業大臣)

地球温暖化は国際社会の喫緊の課題です。全世界規模で経済成長や貧困撲滅と両立した形で温暖化対策を早急に進めることが重要であり、その鍵はイノベーションです。

国際的な低炭素社会の実現に向けて、官民が連携して常に技術革新を進めながら長期にわたり実効性のある対策をとらなければなりません。

日本は、攻めの地球温暖化外交戦略「ACE: Actions for Cool Earth」を推進しています。「Innovation for Cool Earth Forum」は、気候変動対策に貢献する優れた低炭素技術の革新と普及の一層の促進を図るものであり、ACEの一角をなす重要な会合です。技術革新の分野で主導的役割を担う皆様が、先進的な知見を共有し、活発な議論を行うことを期待いたします。

外務大臣 岸田文雄(外務大臣)

気候変動はまさに「今そこにある危機」です。IPCC第5次評価報告書は、現状のまま温室効果ガスの排出が続いた場合には、温暖化によって世界中の人々や生態系に深刻な影響が生じると予測しています。こうした気候変動による影響を緩和するための行動を遅らせることは、将来の対策の選択肢を狭めることになります。

気候変動の国際交渉は今年のCOP21(パリ)に向け、まさに正念場です。2020年以降の新たな国際枠組の中で、世界全体での削減の鍵となるのがイノベーションです。

今そこにある危機をイノベーションのチャンスと捉え、将来にわたって大幅な温室効果ガス排出削減を確実にするための再生可能エネルギーの大幅な普及、省エネルギーの徹底、低炭素技術の世界への普及など、具体的な行動を強化することにより、経済成長にもつなげていくことが必要です。

世界の英知が結集する「Innovation for Cool Earth Forum」は、こうした環境と経済の好循環、すなわちグリーン経済成長を実現する上で非常に意義の深い会合です。

技術の革新・普及による気候変動対策への貢献について、実りのある議論を期待します。

環境大臣 望月義夫(環境大臣)